少し前のこと。
入院している友人が珈琲をのみたいと言ってるので、ポットに詰めてくれますか?
とご依頼いただきました。
なかなかに重い病状とのことで、
闘病中の体に負担のかからないように調整しながら抽出し、お持ちいただいた珈琲。
後に、とても喜んでいましたよと報告いただき安堵したのを覚えております。
そして昨日、ご入院先より届いたお手紙。
大切に手元に置かれていたという珈琲柄のブックカバーが同封されたお手紙には、
「心のこもった癒しの味、生きる気力がわいてきました」の一文。
友を思うお客様の気持ちにより添えた珈琲をお渡しできた喜びとともに、
この文章の向こうに、
その方の心の浮き沈みが垣間見え、胸が痛みました。
そして畑で猛省する一日となりました。
この一文に見合うだけの仕事が出来ているのか。
この方がいらした時に、
その時以上の珈琲をお出しできるのか。
このお手紙は、当店が目指す店の在り方の、第一歩を教えてくださいました。
29年たって、
ようやくその入り口に立てました。